説明したはずなのに違う成果物ができたり、良かれと思ってやったことが相手を不快にさせてしまった、

など、そういった経験はないでしょうか。

こうしたコミュニケーションのすれ違いは、能力の低さではなく、

「自分の主観」に囚われているから起こります。

そこで役立つのがメタ認知です。

今回のコラムは、以前紹介したメタ認知能力の対話術への応用編です。

メタ認知で「もう一人の自分」を起動する

メタ認知能力が高い人は、会話中に自分と相手を上から眺める「もう一人の自分」を持っています。

  • 主観的な人: 「一生懸命説明している。自分は正しい」(自分しか見えていない)
  • メタ認知が高い人: 「今、自分は早口になってるな。あ、相手が少し眉をひそめた。あんまりちゃんと伝わっていないかも。専門用語が難しかったかな?」(自分と相手をセットで観察している)

このように、「今の自分の伝え方」と「相手の反応」をセットで客観視することが、コミュニケーション成功の秘訣です。

「わかったつもり」を防ぐ3つのメタ認知アクション

  • 自分の「前提」を疑う

「これくらい常識だ」「言わなくてもわかるはず」という思い込みは、メタ認知の大敵です。

話し始める前に、「相手はこの用語を知っているか?」「自分と相手の認識や知識レベルに乖離はないか」を一瞬だけ自問自答します。

これだけでも、コミュニケーションの質は向上します

  • 相手の「非言語部分」を観察する

言葉そのものも大切ですが、相手の表情や視線、相槌などにも注目します。

相手の目が泳いだり、相槌が止まったりしたら、

「今の部分、少し分かりにくかったでしょうか?」と、聞いてみるのもよいのではないでしょうか。

  • 「要約」をアウトプット

伝える側の、「伝わったはず」という主観を、客観的な事実に変換します。

逆に伝えられた側(聴者側)も「わかったつもり」という主観を「わかった」に確定させるプロセスが必要です。

「念のため、要約していただけますか」や「こういうことでしょうか」といったやり取りで、

お互いのメタ認知を合わせる作業になります。

感情的になりそうな時の一呼吸

議論が白熱して、イライラした時こそメタ認知の出番です。

現在の自分の状況を俯瞰視し、本来の目的に立ち返る(=メタ認知する)ことで、

建設的な対話に戻ることができます。

おわりに

コミュニケーションは、キャッチボールに例えられます。

相手が取りやすい球を投げているか、相手は受けとりやすい状況なのか。

それを一歩引いて観察する「メタ認知」の視点を持つだけで、驚くほどやり取りがスムーズになります。

また、お互いの「認識のズレ」をメタ認知で埋めていくことは、心理的安全性の高い職場づくりに直結します。

風通しの良い職場を、皆さんの「客観的な視点」で一緒に作っていきましょう。