ASメディカルサポート 提供計画サポート部です。

 

再生医療という言葉は広く知られるようになりましたが、

実際に医療機関が提供するとなると、法律や制度の理解が欠かせません。

このシリーズでは、再生医療等提供計画の作成から提出、運用までを、実務に沿って解説していきます。

 

今回は、「そもそも再生医療とは何か?」を整理します。

■ 再生医療の定義と特徴

再生医療とは、失われた細胞・組織・臓器の機能を再生・修復することを目的とした医療です。

代表的な手法には、以下のようなものがあります。

 

・幹細胞を用いた細胞移植

・自家脂肪由来の間葉系幹細胞治療

・PRP(多血小板血漿)療法

・iPS細胞やES細胞を用いた先端医療

 

これらは「再生医療等」と総称され、既存の薬物療法や手術とは異なるアプローチです。

■ なぜ法的な届け出が必要なのか?

再生医療は、まだ十分な安全性や有効性が確立されていないものも多く、『患者の保護』と医療の『信頼性確保』が大きな課題です。

そのため、2014年に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療法)」により、提供にあたっては国への【再生医療等提供計画】の提出が義務化されました。

 

これは「新しい医療だからこそ、安全性を高めながら段階的に普及させていく」ための制度です。

■ 対象になる技術と医療機関の責任

医療機関が注意すべき点は、

患者への治療提供前に計画の提出・受理が必要であること。

無届で提供した場合、罰則の対象となる可能性もあります。

 

さらに、使用する細胞の種類や手技の内容によって、

「第一種」「第二種」「第三種」に分類され、

求められる手続きや審査内容も変わります(これについては今後詳しく解説します)。

■ 再生医療=先進医療とは限らない?

「再生医療=iPS細胞や最新技術」と思われがちですが、

実際は、整形外科領域でのPRP療法や美容医療における幹細胞注入など、

すでに身近な医療にも使われており、自由診療でも広がっています。

その一方で、提供に必要な制度対応を把握していないまま

始めてしまう医療機関もあるため、トラブルや行政指導の対象となるケースも少なくありません。

■ 最後に

再生医療の提供においては、科学的根拠に基づく判断と、患者安全の確保が何より重要です。

その実現のためには、医療機関一つひとつが制度の目的を正しく理解し、確実な運用を継続することが求められます。

再生医療が社会に広く受け入れられるためには、制度への理解と運用の確実性が不可欠です。

私たち提供計画サポート部としても、引き続き法令遵守・品質保証に基づいた提供計画の整備を、医療機関とともに進めてまいります。

このシリーズが、皆さまの実務に役立つ情報源となれば幸いです。

 

株式会社ASメディカルサポート
提供計画サポート部